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MDSと境界領域にある疾患 ー鑑別診断が必要な病型ー

 MDSの病型のうち,1系統にのみ異形成を伴う不応性血球減少症(RCUD),線維化を伴うMDS,慢性骨髄単球性白血病(CMML),血小板増多および環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS-T),若年性骨髄単球性白血病(JMML)は他疾患との境界領域にあり,診断が難しい。ここではMDSと境界領域にあるこれらの疾患の特徴と鑑別に関する発表を紹介する。

RCUD-RT,RNの病態と鑑別すべき疾患

 H. Papadaki先生は,WHO 2008で新たなカテゴリーとして新設された,RCUDに含まれる不応性好中球減少症(RN)および,不応性血小板減少症(RT)の鑑別方法について概説した。
  WHO 2008では,RCUDを血液細胞1系統にのみ10%以上の細胞の異形成,骨髄芽球5%未満,末梢血芽球1%未満と定義し,1~2系統の血球減少を対象としたが,RN,RTは異形成の程度も少なく,ICUSとの鑑別は難しい。RTは血小板数が100×109/L未満で,比較的緩徐な臨床経過をたどる。また,巨核球とその前駆細胞の増殖と分化障害,TPOシグナル異常に起因する血小板の産生障害や破壊亢進も認められる。RTはMDSの3.5%に認められ,20q欠失が多く,巨核中の10%以上に低分葉核,微小巨核球などの形態異常を認める。治療法は,リスクに応じて血小板輸血から造血幹細胞移植までさまざまあり,免疫抑制療法や脾臓摘出が奏効することもある。鑑別が必要な疾患は,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)である。
  一方,RNは好中球数1.8×109/L未満で,低分葉,脱顆粒などの骨髄あるいは末梢血中顆粒球の異形成が認められる。RNはMDSの2.4%に認められ,G-CSFRやGM-CSFR(βc)の発現が低下する。鑑別が必要な疾患は,薬剤性好中球減少症,自己免疫疾患,顆粒リンパ球増多症,銅欠乏症,慢性特発性好中球減少症である。鑑別にはフローサイトメトリーを用いた成熟顆粒球表面抗原の発現解析が有用である。

線維化を伴うMDSの病態と鑑別すべき疾患

 M. G. Della Porta先生は,線維化を伴うMDSの病態と鑑別すべき疾患について概説した。線維化を伴うMDSは,WHO 2008では多くが芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)に分類される。芽球比率がRAEBの基準に満たない(末梢血1%未満,骨髄5%未満)MDSで線維化を伴うものは,MDS-Uに分類される。近年,線維化と予後との関連性が明らかになり(),Grade 2/3の線維化陽性例ではWPSSのリスク分類が1段階高くなること,すなわち線維化がMDSの独立した予後因子であることが報告された。
  MDSのうち,線維化を伴う患者の割合は2~50%と,報告によってバラツキが大きいが,欧州コンセンサスに基づいた再評価では,Grade 1以上の線維化は60%,Grade 2/3の線維化は17%の患者で認められた1)
  線維化を伴う患者の特徴は,ヘモグロビン低値,血小板数低値,輸血依存であり,原発性骨髄線維症(PMF)よりも血球減少は重度となる。骨髄生検ではCD34+細胞のクラスターを認める。鑑別が必要な疾患はPMFであり,MDSではJAK2変異は4%以下だが,骨髄増殖性腫瘍(MPN)では高率であることから,鑑別が可能である。

図:骨髄線維化のグレード別に見たMDS患者のOSLFS

CMMLの病態

 D. Bowen先生はCMMLの病態について概説した。CMMLはMDS/MPNの一病型であり,無効造血,貧血・血小板減少の頻度が高い。また,MPNと異なり,予後不良で,容易にAMLへと移行(中央値12ヵ月)する。予後不良因子は,ヘモグロビン12g/dL未満,リンパ球2.5×109/L以上,末梢血未分化骨髄球0%超,骨髄芽球10%以上であり,MDアンダーソンがんセンターではこれらの因子を用いたスコアリングシステムを確立した2)
  CMML患者には,増殖(RAS,PTPN11,c-Cbl)と分化(RUNX1)に関与する特徴的な遺伝子異常が認められる。RAS変異率は40%を超え,TET2変異率(4p UPD)は40%,RUNX1変異率は37%である。また,MDS型のCMMLとMPNに近いCMMLに区分される。CMMLは70歳以上の高齢者に多いため,造血幹細胞移植は難しく,薬物治療として5-azacytidine,2'-deoxy-5-azacytidineに期待が集まっている。

RARS-T/JMMLの病態

 M. Cazzola先生は,RARS-Tの病態について概説した。RARS-Tは暫定的にMDS/MPN-Uに分類される。特徴は,骨髄中の環状鉄芽球が15%を超え,血小板数が450×109/L以上であり,クローン性の顆粒球が認められることである。JAK2 (V617F)変異率が高く,ALAS2遺伝子発現亢進,ABCB7遺伝子発現低下などが特徴である。また,鉄芽球に関連する異常の発生からJAK2/MPLの異常を経て発症する型,JAK2/MPLの異常が先行し,後に鉄芽球に関連する異常が生じ,基本的にはMPNに近い型を呈するものがある。
  また,C. Flotho先生はJMMLの病態について報告した。小児血液腫瘍の2%を占め,その95%は6歳以下の乳幼児である。巨大肝脾腫が認められ,RAS変異につながる遺伝子異常が数多く認められる。治療法は,BU/CY/Melを前処置に用いた造血幹細胞移植が中心である。JMMLの予後因子は年齢であり,2歳未満の無再発生存率は60~70%であるが,4歳以上では40%程度となる。

1) Della Porta MG, et al., Journal of Clinical Oncology 2009; 27: 754-762
2) Onida F, et al., Blood 2002; 99: 840-849

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