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MDSの新たな診断方法 ~フローサイトメトリーの臨床導入~

 MDSはきわめてheterogeneousな疾患であり,さまざまな細胞遺伝学的異常が発症に関与していると考えられる。特徴的形態異常や染色体異常を欠く場合には,診断に苦慮することもしばしば経験される。特にICUS(idiopathic cytopenia of unknown significance)から1系統に異形成を伴う不応性血球減少症(RCUD)への境界領域では,正確な診断のためのツールとしてフローサイトメトリー(FCM)が注目されている。

MDSにおける細胞表面抗原発現の異常とFCM解析

図1:好中球成熟ステージと抗原発言強度 正常な好中球系細胞は,分化に伴って一定の表面抗原を発現するが(図1),MDSではこれらの発現パターンに変化が見られる。FCM解析の導入により,さまざまな分化抗原発現パターンの異常が検出できるようになると考えられ,個々のデータを蓄積することで,将来の診断法および予後予測への応用が期待される。
  M. R. Loken先生は,MDS診断におけるFCMの有用性について概説し,骨髄細胞の分化抗原発現異常について報告した。MDS患者および健常人の骨髄細胞の表面抗原を,FCMを用いて比較検討した研究の結果から,成熟細胞において表現型異常(CD13/ CD11 b)の検出が可能であり,特に不応性好中球減少症(RN)とICUSの鑑別などに応用できる可能性が高いことが示された。また,骨髄芽球の表現型異常(CD5+,CD7+,CD56+)も検出することが可能であり,芽球の表面抗原発現異常と病期進行リスクに相関が認められた。これらFCM解析結果からスコアリングシステムを構築し,移植後再発リスクの予測が可能であったと報告している(図2)。また,FCMを用いた自動解析ソフトの導入により,診断効率をより高めようとする試みも始められている。

図2:FCM scoring system (FCSS)により移植後再発に与えるインパクトを評価

FCMを用いてMDSの予後分類が可能に

 A. A. van de Loosdrecht先生は,FCM所見に基づくMDS予後分類について講演した。flow scoreがWPSSと相関し,さらに輸血依存性やAML移行率とも相関することが示された1)。また,CD34陽性芽球の表現型異常(CD5+,CD7+,CD56+)が移植後の予後因子であること,FCMを用いれば純粋な不応性貧血(RA)を,多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)から鑑別できることも報告された。さらに,エリスロポエチン(EPO)値とFCM所見の異常の有無によって,サイトカイン療法の有効性を予測しうることが明らかにされた。FCMが異常でEPO値>100ないしは<100の場合,各奏効率は0%と17%,FCMが正常の場合,各奏功率は33%,81%であった。
  以上のように,FCM所見に基づく分類法は, 予後や治療奏功率の予測,鑑別診断に有効であることから,簡便な解析ソフトの開発が期待される。また、脱メチル化剤など、新規治療の効果予測に有用であるかについても興味深い。

1) van de Loosdrecht AA, et al., Blood. 2008; 111: 1067-1077

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